昨年 10 月に
Google 認定の広告ネットワークからの収益をレポートをリリースしてから、表示されるデータの解釈について多くのご質問をいただいております。その中に「インプレッション収益(RPM)に基づいて成果の低い広告ネットワークをブロックしたところ、全体的な収益が低下したと」いうご意見も寄せられています。そこで本日はこうしたご質問にお答えし、レポートの見方と広告ネットワークのブロックについて詳しくご説明いたします。
インプレッション収益(RPM )とは
インプレッション収益(RPM) は 表示回数 1,000 回あたりの見積もり収益額を表します(参照:
ブログ「eCPM と RPM の意味について」)。
インプレッション収益(RPM) = (推定収益額/表示回数)×1,000
一般的な RPM 分析 - チャネル毎の分析
このブログをご覧の方の中には、チャネルを使っての RPM の分析を行ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。一例としては、赤系の広告ユニットには Red というチャネル、青系の広告ユニットには Blue というチャネルを設定して、このチャネルの RPM を比較することでどちらの色がより効果的かを見る、というものです。このような比較をした場合、一般的には最も効果的な色を特定したら、その色以外の組み合わせを削除し、見つけた最適な色のみを使います。
チャネルと広告ネットワークの RPM 分析の違い
しかし、チャネルの分析の時とは異なり、Google 認定の広告ネットワークを分析した後は効果的なもの以外を削除(ブロック)するということには注意が必要です。
チャネルで比較をしたあとに、配色をテストして成果がよくないチャネルを削除しても広告オークションに直接影響することはありません。配色をテストした後、赤の背景色をやめて青の背景色を選んだとしてもその広告スペースのパフォーマンスが上向くだけです。その広告スペースでのオークションに参加している広告が削除されることはありません。
一方、Google 認定の広告ネットワークでは、広告ネットワークをブロックすることはオークションに参加できる広告の数を減らすことになります。以下の表を例に詳しく見てみます。
広告ネットワーク | 表示回数 | インプレッション収益(RPM) |
ネットワーク A | 10,000 | 100 円 |
ネットワーク B | 14 | 300 円 |
ネットワーク C | 1,000 | 50 円 |
表示回数が少ないネットワークの RPM について
ネットワーク B は RPM が最も高く、他のネットワークよりもパフォーマンスが優れているように見えます。しかし、表示回数を見るとネットワーク B が提供した広告は今までに 14 回しか表示されていません。言い換えると、この 300 円というインプレッション収益はたった 14 回の表示回数に基づくもので、表示回数が 1,000 回や 10,000 回になった場合に同じ収益性が保たれるとは限りません。インプレッションの価値は表示回数が増加するに従って大きく変動する可能性があるため、表示回数が少ない時点で見積もられた RPM では判断を誤る可能性があります。
「RPM が低い = ブロックすべき」ではない
また、ネットワーク C は RPM が最も低くなっていますが、この情報に基づいてネットワーク C をブロックすると、収益にマイナスの影響が出る可能性があります。
Google のシステムでは広告表示のたびにオークションが行われ、そのオークションに参加した広告の中で最も価値の高い広告が表示されます。ネットワーク C の広告がページに表示されたということは、その時オークションにかけられた他の広告はそれよりも収益が低かったということです。ネットワーク C をブロックすると、それよりも収益性の低い広告が代わりに表示される可能性があるのです。
一般的に、ブロック機能を使用すると、広告オークションに参加できる広告の数が減るため、結果的に収益にマイナスの影響が出る可能性があります。言い換えれば、「収益性の低い広告をサイト運営者様が自分でフィルタする」必要はありません。なぜならページに表示される広告は、その広告スペースを対象としたオークションで勝った広告であり、最も収益性の高い広告だからです。
なお、広告の内容や広告主を選ぶという観点から、広告を表示させたくない場合は
その他のオプションをご検討ください。
Google では皆様からのご意見を基に、サイトで表示される広告をより的確に管理していただけるよう継続的に取り組んでおりますので、今後もこのブログに掲載される最新情報にご注目ください。なお、広告をブロックする際には、収益性を損なうことがないよう慎重に判断されることをおすすめいたします。
Posted by Arlene Lee - Inside AdSense チーム